Tube Amplifier
まだ「Think Different」というデザインアプローチに至っていなかった頃、素材のテクスチャや表面処理からの製品デザイン、という考えでいろいろな製品のことを考えていました。今では「Material Conscious」という考え方で進めているデザイン研究のはしりです。
「Material Conscious」とは、製品を構成する材料を、その製品の本質(ユーザーに期待される価値と言っても良いかもしれません)から考え、そのことにふさわしい材料選びからデザインを進めていくという、本来の合理的な製品設計とは方法論の異なる、デザインの考え方から構造や設計を確定していくスタイルのことです。(この思想についてはブログの方で詳しく説明するつもりです)
さて、真空管のアンプと言うのは一部のオーディオマニアからは絶大な支持を得ていて、その一番大きな要因としてトランジスタとは異なる増幅方式による音の純度の高さが上げられますが、四角い箱のトランジスタアンプとは異なる、真空管をはじめとする各部品が構成する独特の外観も魅力の大きな要因でしょう。
Chrome Tube Amplifierは、真空管とクロームメッキのコンビネーションに魅力を感じたことから、このデザインを具体化するた、シャシー設計から考察を進め、クロームとゴールドのメッキにより楽器のようなアコースティックなスタイルとしています。
二番目のGlass Tube Amplifierは、NC切削加工によるガラスをボディに使用することで複雑に屈折した像で内部の回路が見えるという面白さを形にしてみました。全体のスタイルは映画のブレードランナーやマイノリティ・リポートに出てくるような未来都市をイメージしたデコラティブなデザインにしています。
どちらも真空管や回路基盤を樹鉄製のベースフレームに剛結し、そのフレームをクロームやガラスのボディに吊り下げるという構成で、音楽演奏の空気振動による影響を受けやすい真空管の弱点を解消するという考えを構造にしています。