Be SUGI Project
鳥取県智頭町で杉を製材しているメーカーと電子機器の設計製造を手がけるメーカーとのコラボレーションにより、智頭100年杉の凛とした美しさに触発された、自由な発想によるインテリアライティングを開発しました。
智頭杉の美しさをより引き立たせるよう光り方も含めてデザインを考え、デザインに合わせてLEDのレイアウトを決めるという、通常の照明設計のまるで逆を行く、今までなかったライティングのスタイルを実現しています。
4種類の製品それぞれが、それぞれとも智頭100年杉の美しさを存分に発揮するよう、電球時代の照明器具のあり方を一切忘れ、智頭杉による智頭杉のためのデザインを考えました。
Grid
グリッド状に配した杉の桟の裏側(本体側)に、専用に開発した9mm幅のLDE基板から本体内部に向けて発光させ、その光を金属並みの反射率を誇るプラスチックシートで前方に反射させるという手の込んだ設計をしています。
これにより、通常はシェードをどのように工夫しても目を凝らせばLED光源が見えてしまうものなのですが(LEDは電球と違いそもそも放射光ではないので)、拡散反射光のGridでは、シェード全体が均一に光るため光源の存在はわかりません。
Butterfly
前方に向け配置したLEDの光を凸レンズ状に加工したアクリル板によって上下に拡散させた上、因州和紙を貼ったシートによって光源を見えにくくしています(目を凝らすとわかります)。
しかも、両サイドの蝶々の羽の部分が和紙の拡散によって照らされ、照らされた杉の木目が蝶々の羽の文様のように浮かび上がり、Butterflyの名のとおり明かりに照らされた蝶々のように光るよう設計してあります。
Wappa
お弁当箱などでよく知られる『わっぱ』の技術をライティングに活かすため、中心が空洞であることにこだわりました。
通常このようなスタンド型の照明では、ポールの上端に光源を設けシェードはそれよりも上方に配置する設計がなされます。
しかし、それではわっぱの空洞が表現できないと感じたことから、LEDをポールに“巻く”という方法を考え、円筒状の部品を設計、そこに外周に向けてLED基板を取り付け、さらにすりガラスにしたアクリルパイプをかぶせて、あたかもわっぱが空中に浮かび、その内側が光っているかのようなトリックを使ってみました。
Column
杉という呼び名は“直ぐ”の木「直木:すぐき」から来ていると言われています(異説もあります)。天に向かってまっすぐ育つ姿からそう呼ばれたのでしょうが、呼び名だけではなく杉は木材の中でも最も曲がりや反りの少ない木材として、住宅の構造材に使われます。
通し柱と呼ばれる家の屋根まで届く柱は4M以上の長さがありますから、ここに曲がりや反りのある木材を使えば、家は傾いてしまい住むことができなくなります(まさに大黒柱です)。このことからも、通常、木造住宅は杉材で建築されるのです。
Columnはこの杉の柱をイメージ、そして明かりを照らすシェードの部分に昔の町家にあった格子窓を模した羽状の杉板を環状に配置しました。
直管形の蛍光灯は横長に使われるのが当たり前ですが、Columnは天に向かってまっすぐ光る柱として直管蛍光灯型LEDを縦長に使い、今まで見たこともないような、それでいて昔から知っているような不思議な感覚を抱かせるデザインにしています。