Ashulla II

 

2008年に、イタリアンスタイルのビッグクーペとしてデザインした『Ashulla』の発展形としてデザインしました。
前作はホンダV12のエンジンサウンドを奏でながら、広い高速道路をゆったりと走る“GTクーペ”という設定でしたが、『Ashulla II』は、「ボルボS60ポールスター」という、500馬力を発する横置き直列6気筒ターボが四輪を駆動する恐るべきセダンをベースにしました。

Ashullaの流麗なボディラインをそのままに、岩肌に沿って流れる水の、滑らかで力強い塊感をイメージに、キャラクターラインではなくサーフェースが曲率を変えながら流れて行くボディをデザインしてみました。
サイドまで回り込んだフロントウインドウがいつの間にかルーフの面に変わっていく、そしてそれに沿って光の反射や塗料の色がグラデーションを描いで変化していく、清流の流れを透して見える川石を思わせる造形を狙っています。

『Ashulla』という名前は、仏教の「阿修羅」から採ったものですが、私の心の中の阿修羅は、光瀬龍のSF小説を原作に萩尾望都が漫画化した「百億の昼と千億の夜」の主人公の修羅が、その“元型”となっています。
己の信ずるところに従い、戦いの鬼と化して無双の敵と永劫の時を戦い続ける阿修羅の姿から、永遠の美を求め、美への戦いを続ける戦士の姿を『Ashulla』と名づけています。